温故知新

http://sbsp.jp/sbsp/Sb/ で、構造生物学坂部プロジェクトの機関誌「構造生物」(1995-2005)を読むことができる(OCR らしく、誤字が散見されるのはご愛嬌)。私は昔のこういう文献を読むのが好きだ。Original paper はもちろん、その後に書かれたレビューや裏話なども面白い。

1995年から2005年というのもちょうど良い時期で、現在でも使われているプログラムが多く出てくるので地続きという感じがする。今の構造解析はなんでもかんでも自動化されていて、標準的な結晶の場合はパイプラインを流すだけという感があるが、当時は一歩一歩、手作業でプログラムを組み合わせて進めていたので勉強になる。うまくいかない場合のパラメータの調節・使用する分解能範囲の調節など、ちょっとしたコツの多くは、当時からの経験者にとっては自明でも、私の世代にとっては目から鱗ということがある。これらを「失われたノウハウ」にならないようにしたい。

例えば、Vol1. No. 2 の岩田氏による「Paracoccus denitrificans 由来チトクローム酸化酵素の2.8Å分離能のX線結晶構造解析」は面白い。膜貫通αヘリックスの並びによる10Å程度の強い反射は位相の精度が良く、他の反射は位相が悪いので、相対的にαヘリックスの谷間にあたる部分への負の寄与が強くなり、側鎖が見えなくなってしまった。そこで、その範囲を弱くスケールしたと書いてあるのだ。現在の精密化プログラムは、位相の確からしさに基づいて重み付けするので、こういう問題は起こりにくくなっているはずだが、なんとうまいアイデアではないか。昨晩は、この話から twitter が大いに盛り上がった(だれか Togetter にまとめて〜)。