科学ソフトウェアがオープンであること

某三文字の積分ソフトは、ユーザとしては好きだけど、ソースコードが公開されていないのがやはり気に入らない。パイプラインの一部として使うのはいいけど、それ自体の開発には関わりたくない。ccp4 や Phenix みたいに、academic 以外は有料という意味で「自由じゃない」のは仕方がないかなという気もするけれど、ソースが公開されていない、hack できないってのはやはり窮屈だ。仮に NDA 結んだ上でコードを見たり触るようなことになっても、その特権を嬉しく感じるよりは、知り得たことを口外できないことが、かえってフラストレーションにつながりそうである。もちろん今だって、自分の隣の席では、あっと驚くような構造を精密化してたりして、それを誰かに話したくてウズウズしつつもちろん黙っているわけだが、それは1年もすれば論文になって公開されることを知っているから耐えられるのである。

DIALS については、実用レベルに達するにはまだ時間がかかりそうという声が多いし、私自身そう感じているのだが、何年か経って既存のソフトウェアと同等の性能が出るようになったとき、今のバージョンと diff を取って、結局何が問題だったのか答え合わせがしたい。その違いが、論文に書かれていないノウハウであったにせよ、ソースが公開されていても容易にアイデアだけ抽出・再実装できないようなものであったにせよ、scientific software のあり方を考える上で重要な意味を持つことになりそうだ。