2024-06-30 (Sun)

頭痛がしたので、大体横になって文章を読んでいた。体が熱い気もしたが、熱はなかった。

BBC Radio 4"In Our Time という 80 年代から続く、有名なラジオ番組を知った。科学や哲学についての討論らしい。過去の 1,000 以上の回が、podcast としてダウンロード可能になっているのが嬉しい。また、同じく BBC Radio 4 には "The Archers" というラジオドラマもあり、こちらは 1950 年から続いていて、なんと 20,000 話以上あるという。こちらは残念ながら、過去一ヶ月分しか配信されていない。

読んだ

  • 雑科学ノート "インピーダンスの話"
    さすがに数式を全く使わないで説明することには無理がある気がするが、面白かった。Cole-Cole plot というものを知った。

  • 雑科学ノート "クロマトグラフィーの話"
    カラム内での濃度分布が溶出液の濃度分布が違うとか、実際の計算結果と合わせて示していて面白かった。学部 3 年生の夏に summer student で行ったイギリスのラボで、FPLC の "theoretical plates" という言葉を初めて聞いたのを思い出した。

  • 雑科学ノート "超臨界流体の話"
    熱力学的な相図の話としてはなんとなく分かったのだけれど、ミクロに、分子レベルではどういうことになっているのか気になる。相互作用自体の強度が温度で変わるはずはないから、熱運動によるエネルギーのほうが相互作用のエネルギーより相対的に大きく、しかし気体ほど分子が希薄ではないから、距離に依存する相互作用もそれなりに強い状況、ということかな。

  • 日本結晶学会誌 "SARS-CoV-2 変異株 Spike に対する高親和性 Nanobody の合理的デザインを指向した構造学的研究"
    こういう研究は記載的にならざるを得ず、大学院生の研究としては手堅くまとまりやすい適切な課題だろうが、当該蛋白質に興味ない人にとっては、それほど面白い読みものにはなりようがない。

  • Science "Neuronal senescence may drive brain aging"
    これも延々といろいろな知見を列挙しているだけで、全体像が見えてこない。分裂しないニューロンにおいて細胞老化が見られるというのは、そういう state になる機構が興味深いが、そんな細胞を除去してしまって神経回路に悪影響がないのだろうか。ニューロンとしては活動しなくなっているという記載もあるが……。

  • Nature "Hope, despair and CRISPR — the race to save one woman’s life"
    稀な神経変性疾患 familial encephalopathy with neuroserpin inclusion bodies の少女を救うため、base editor の開発を急いだが間に合わなかったという話。興味深く読んだが、既に症状がかなり進んでいて、仮に遺伝子治療の開始が間に合ったとしても、回復は期待できなかったと思う。なお、この疾患は autosomal dominant な遺伝様式らしいが、若年発症という重症型な本症例において家族のことが触れられていないということは、新規変異による孤発例だったのかな。

    • gregarious: 社交的な
    • streak: 性向
  • Science "An epigenetic editor to silence genes"
    上の話では CRISPR ベースの gene editor を使おうとしているが、コンストラクトが大きすぎて AAV に入らず、2 つのウィルスベクタで投与するしかないとされている。一方、こちらは、TALEN に histone tail と DNMT の一部をくっつけたものを発現させて、元々細胞内にある DNMT の触媒ドメインを recruit するアプローチ。細菌由来の成分がないから免疫反応も起こりにくいとしているが、AAV 自体が大問題だろう。