同型置換法では、蛋白質のみ(native; P) と蛋白質の重原子誘導体(PH) の反射強度を測定し、ここから重原子の構造因子(H)を推定するのが第一歩となる。この時、二つの反射強度を同じスケールに載せる必要があり、そのためのプログラムとして SCALEIT や FHSCALE などが使用されていた(いる?)。
教科書やチュートリアル(例えば、http://www.ccp4.ac.uk/dist/share/ccp4i/help/modules/appendices/ir-bathtutorial/irbath2.html)で、次のような式が出てくる。
これはパターソン関数の原点を計算していることになり、Parseval の定理から
だから、左辺は重原子誘導体の asymmetric unit 内の電子密度の二乗和である。それが、蛋白質のみの電子密度の二乗和と重原子の電子密度の二乗和を合わせたものに等しいと言っていて、なるほど直感的にもうなずける話だ。
しかし、左辺を真面目に展開していくと、
となって、最後に cross-term が出てくる。
重原子が蛋白質の原子と重なることはないと考えれば、片方の電子密度が正ならもう片方は0になるので、この積分は消えるが、そういうことだろうか……? ご意見求む。