ガウス分布の和

ガウス分布は再生性を持つ。つまり、二つのガウス分布に従う確率変数の和も、またガウス分布になるのだ。証明は検索すればたくさん出てくるが、一番単純な場合、つまり、標準正規分布の和の場合について手計算してみた。

確率変数 x と y が標準正規分布に従うとする。その和、x + y の確率分布を考える。これがある値 X を取る確率は、「x = a かつ y = X - a となる確率」を a を全範囲に動かして積分したものだから、

 f(X) = \int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{a^2}{2}} \frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{(X - a)^2}{2}} da = \frac{1}{2\pi} \int_{-\infty}^{\infty} e^{-\frac{a^2 + X^2 - 2 aX + a^2}{2}} da

となる。指数の部分を平方完成して、

 f(X) = \frac{1}{2\pi} \int_{-\infty}^{\infty} e^{-\frac{2(a - \frac{X}{2})^2 + \frac{X^2}{2}}{2}} da

となり、a に関係ない部分を積分の外に出すと、

 f(X) = \frac{1}{2\pi} e^{\frac{-X^2}{4}} \int_{-\infty}^{\infty} e^{-(a - \frac{X}{2})^2} da

となるが、括弧の中はガウス積分である。

 \int_{-\infty}^{\infty} e^{-\frac{(x - a)^2}{b^2}} dx = b\sqrt\pi

を使って、

 f(X) = \frac{1}{2\pi} e^{\frac{-X^2}{4}} \sqrt{\pi} = \frac{1}{\sqrt{2\cdot2\pi}} e^{\frac{-X^2}{2\cdot2}}

となる。これは、分散 2 で平均 0 の正規分布である。

一般には、平均が m_1, m_2、分散が \sigma_1^2, \sigma_2^2正規分布の和は、平均 m_1 + m_2、分散 \sigma_1^2 + \sigma_2^2正規分布となる。