読んだ
生物物理学会誌 "「細胞壁」「巨大液胞」「原形質流動」―植物細胞のユニークな物理的特性を細胞骨格はどのように作り出すか"
面白かった。今のライブイメージング技術を使えば解決できそうな問題に見えるが、植物の細胞生物学には予算がつきにくくて、そういう研究があまり進まないのかな。植物には中間径フィラメントもダイニンもないとは知らなかった。生物物理学会誌 「巨大ウイルスから発見された光でプロトンを輸送するヘリオロドプシン」
Heliorhodopsin のうち、機能が分かったものが現れたという話。生物物理学会誌 「先にプロトンを受け取るか,先に向きを変えるか」
Schizorhodopsin のほうが、プロトンの放出と獲得の向きに一致した形で retinal が異性化しており、素直であるとのこと。一方 bR は素直でないところが生物物理学者の興味を惹いたという見方は面白い。生物物理学会誌 「キャリアデザイン談話室 (23) 研究支援・JSPS の仕事」
こういう方向に進むこと自体は良いと思うが、「会議室の設営から会議出欠照会・旅費精算・当日の会議進行等」って完全に事務的な仕事で、理系の大学院出身であることが役に立っていないような気がする。Science "Eliminating a gut microbe could slash gastric cancers"
H.pylori の除菌に胃がんの予防効果があるというのは日本では定説のように扱われているが、実はこれまでしっかりと示されていなかったのか。欧米では胃がんの発生率が低いから、H. pylori の保菌者かどうかをマススクリーニングするのは費用対効果的に見合わないという要素もあるようだ。Nature "Don’t fade away: memory for music persists with age"
Alzheimer 病とかがある場合にどうなのかまで踏み込めていないのが残念。Science "Does humidity make heat more deadly? Scientists are divided"
湿度が高いほうが蒸発が遅くなって気化熱による体温放出効率が悪くなるはずなのに、疫学的には、高温だけで熱中症による死亡の説明がついてしまい、湿度の効果が見えてこないという矛盾。インドやアフリカのデータが少ないこと、気象台の観測する温度や湿度と実際に患者が発生する環境の温度や湿度が一致しないことが理由として挙げられている。興味深い。Science "Explosive claim about ancient burials challenged"
Preprint の段階でメディアを巻き込んで大々的に自説を宣伝した(ドキュメンタリ番組まで作らせた)のはやりすぎですね。- jut: 突き出す
Science "A cosmic perspective"
天体現象を見ることで、夢を追いかけようという決心をしたという話。物語でありがちなこと、本当に起きるんだな。Nature "Soft-landing methods aim to simplify structural biology"
"TEM is not suitable for defining the structure of protein molecules at high resolution, but cryo-EM is." って、cryo-EM が TEM の一手法であることを分かっていないんだろうか。
それはともかく、この手の手法は、数種類の試料で構造が保たれるということを示しただけではあまり意味がなくて、大半の試料で大丈夫ということを言えないと、みんな使わないと思う。- divot: 窪み (とくに、ゴルフで芝生を引っ掻いてできるもの)