2024-04-30 (Tue)

読んだ

  • Nature "How synthetic biologists are building better biofactories"
    NAD の代わりに nicotinamide mononucleotide とか nicotinamide cytocine dinucleotide といった物質を補酵素として使う酵素を作ることで、metabolic engineering による競合を減らそうという試み。これらの人工補酵素の再生系も細胞に組み込んだら、結局還元力の取り合いになってしまうのでは? 安く合成して外部から供給するとか、電極で還元するような系を作るほうが本筋だと思う。そもそも metabolic flux を決める上で、還元力が実際に limiting になっているケースはどのくらいなんだろう。

  • Science "Can quantum tech give telescopes sharper vision?"
    量子テレポーテーションなどの手法を使って、直接位相を測定できない可視光領域においても干渉望遠鏡を実現しようという話。面白い。

    • on the coattails: 便乗して
  • Science "The dream machine"
    電子や陽電子電荷があって放射光を出すため加速しにくいし、プロトンなどのハドロンは quark から成るので衝突エネルギーのわずか 10 % 程度しか素反応に使われないしデータ解析も困難。そこで、電荷は持つが電子より重くて放射光を出しにくい muon を衝突実験に使おうという提案。そういう事情があるのね。問題は、muon の寿命が短いこと。LHCプロトンの加速に 20 分もかけているとは知らなかった。
    ただ、質量が大きい方が放射光を出しにくいという理屈がよく分からない。同じエネルギーにしたときの周回軌道の半径が大きくなるから、間接的に出しにくいということかしら?

    • quarry: 採石場、比喩的に知識や発見の源泉
  • Science "Utah flouts FDA with new placental stem cell law"
    患者本人が同意しているなら承認されていない胡散臭い治療を受ける権利(愚行権)は与えられるべきだと思うし、日本もそうなっているわけだが、このユタ州の法律では、医師に限らず、コメディカルもそういう行為ができるとしているのはさすがに行き過ぎ感。

    • broadbrush: 大雑把な
  • Nature "Peter Higgs obituary"
    Higgs 粒子の論文の後は、理論物理学の研究よりも、教育とか組合活動をやっていたらしい。テレビもインターネットも使わなかったというのもすごい。

    • self-effacing: 控えめな
    • backwater: 淀み
  • Nature Reviews Physics "Physics words with surprising origins" ReadCube
    散乱断面積の barn の語源が本当に納屋であることは知っていたが、Penguin diagram が、ダーツに負けたら論文の中にペンギンという単語を入れる賭けに由来するとは知らなかった。

    • whimsy: 気まぐれ・酔狂
    • in-joke: 内輪の冗談