たかだか有限個

「所詮、たかだか有限個だから」といった言葉を聞くことがある。有限個ならば、全探索で総当たりすれば理論的には解ける。つまり1つ1つ調べていけばいいのだ。無限個だったり、範囲が有限でも連続だったりするとそうはいかない。もちろん現実には時間やメモリの制限があるので、有限個でも解けない問題はたくさんあるのだけれど*1、本質的には「たかだか有限個」なのである。

この考え方は、「問題を解く手法として可能性があるのがたかだか有限個」というメタ的な使い方もできる。試験問題は、所詮、出題範囲が決まっているので、そこで要求される前提知識も有限。ある程度勉強が進んだ段階で解けない問題に出会った時、「自分が知らない知識やテクニックが要求されている。自力で発見しないと……」と悩むよりも、自分が知っている戦略を全部列挙して1つ1つ適用性を検証していくと、あっさり解けたりする。逆に学習段階では、解けなかった問題の解説を読んで、解くために必要な技術・知識のうち何が足りなかったのかを明確にして、自分のレパートリーに追加することを意識するとよい。私は高校の頃にこの手法に気がついてから、勉強が捗るようになった。

一方、研究で出会う問題は、そもそも解けるのか、解があるのかどうかすら分からない。解けるとしても、少し考えれば自分の知識レベルで解けるのか、それとも高度で専門的な知識がないと解けないのかも分からない。だから、はるかに苦しい。

*1:現在使われている暗号はまさにそうだ。計算量的に安全性を確保している。