バルトークの弦楽四重奏曲第四番を聞いた。昔はさっぱり分からなくて聞く気が起きなかったのだけど、最近少し聞けるようになってきた。この第五楽章なんて、まるでゲームの戦闘シーンの BGM みたいだなあ。
読んだ
Nature "A crystalline doubly oxidized carbene" ReadCube
Carbene から電子を 2 つ引いたもの、つまり、炭素の周りの電子は 4 つで、空軌道が 2 つというエライことになっている。単結晶が取れているのがすごい。
Tf2O で carbonyl oxygen が抜けるのは知らなかった。どういう機構? あと、r2SCAN-3c という DFT functional を使っている。OSS の量子化学ソフトで対応してるやつってあるのかしら。Psi4 や PySCF の GitHub に feature request は出ているけれど。それから、H3B・NEt3 を hydride source として使っているが、これも抜けるのが驚き。Nature "Human trials of artificial wombs could start soon. Here’s what you need to know"
22-28 週で生まれた場合の救命を目標としているそうだが、長期的な効果(つまり、従来の方法に比べて後遺症が少ないか)は動物実験レベルでさえ不明とのこと。頚静脈からポンプで脱血して酸素化して臍動脈に戻すアプローチと、臍動静脈をポンプなしで人工肺につなぐアプローチがあるらしい。
とりさんとしては、そんなに早く産まれてしまったものは、ここまでして救命せず自然に任せるでもいいと思うんだけど……。記事にある、早産を防ぐための研究に資源を使うべきという考えに共感する。Nature "FedEx for your cells: this biological delivery service could treat disease"
exosome は 30-150 nm で multivesicullar body から exocytosis で分泌され、ectosome は 50-10,000 nm で全体が細胞膜から切り出される。後者は名前を効いたこともなかった。間葉系幹細胞の効果が、それ自体の文化ではなく、そこから分泌される EV にあるという話はとても面白い。マウスの若返り効果を見ると、もしかして血管吻合や輸血による若返り効果も血液中にある EV が効いていたりするのかな。Drug/Gene delivery に使う研究がたくさん行われているそうだが、どうやって目的物をパッケージングするのかということと、EV の表面蛋白質などを解析して人工的に構築するアプローチはないのかということが気になった。Nature "Life-changing cystic fibrosis treatment wins US$3-million Breakthrough Prize"
Trikafta(elexacaftor, tezacaftor, ivacaftor の合剤) で、患者の平均寿命が 30 歳代から 80 以上になる見込みとあるけど、ホント? あと、変異の種類によって効く人が限定されてると思うけど、患者全体のどのくらいに益があるんだろう。欧米では出生 3000 人に一人とか言われてるわりに患者数が全世界で 10 万人というのも意外と少ない。どんどん死ぬからか?Nature "COVID boosters are back: what scientists say about whether to get one" 基礎疾患のない若年者に対してブースター接種を行う必要性・意義があるかという話。重篤な合併症を減らすだけじゃなくて感染防止効果が強いワクチンが早く出ないかなあ。
Nature "Russia’s war in Ukraine is disrupting Antarctic science"
北極ならともかくなぜ南極が影響を受けるんだって思ったが、研究者が徴兵されてしまったり、予算が不足していているせいらしい。Nature "India’s Moon mission: four things Chandrayaan-3 has taught scientists"
Earthquake じゃなくて moonquake というのが面白い。- sojourn: 短い滞在。今回みたいに戻ってくるわけじゃない場合にも使えるのかしら。
Nature "‘A Pandora’s box’: map of protein-structure families delights scientists"
AlphaFold2 DB の構造をクラスタリングした論文が 2 つ登場。beta-flower という新規 fold が見つかったという例が出ているが、図が単なる beta barrel なのはいただけない。Nature "Catching proteins at play: the method revealing the cell’s inner mysteries"
CryoET の紹介記事。とりさんは、averaging するつもりなら tilt しないで撮影したほうがよいと思っている。CryoET は平均化できないようなもの、たとえば膜や小胞の構造を見る、つまり組織学に使うべきだと考えている。Nature "Akira Tonomura (1942–2012)" ReadCube
10 年前のものだが、外村彰の追悼記事。亡くなる直前に FIRST の超大型予算 60 億円で超高圧電子顕微鏡作ろうとしていたらしい。Nature "Japan rolls out elite science funds" ReadCube
その FIRST の報道。元々はもっと高額のはずだったが、民主党の事業仕分けで削減されたとのこと。HuffPost "外村彰氏の電子顕微鏡が始動、世界最高の分解能"
外村さんの死後も FIRST プロジェクトは継続され、一応 1.2 MV の超高圧電子顕微鏡(球面収差補正装置つき)が完成したらしい。これって超高圧電顕が廃れる前の話なのかなあ。これを使って画期的な成果はあったのだろうか。PC watch "Core Ultra搭載Acerの次世代薄型ノートが早速公開"
クラウドではなくローカルで AI を実行するという動きは歓迎するが、大規模な AI モデルは非公開のものが多いし、性能的にも厳しいのでは。「Core Ultra から AI 推論処理を CPU や GPUよりも速く、かつ低消費電力で行なえるエンジンを搭載」とあるが、GPU より低消費電力・高効率なのは正しいが、高速というのは昨日の NPU の記事を見ても間違いだろう。PC watch "Intel CPU と NVIDIA GPU も 1 つにできる「UCIe」。Intel が半導体技術の進化をアピール"
一つのパッケージにまとめてもメモリアクセスがボトルネックになったり、発熱密度が上がるから損なのでは。PC watch "Amazon、性能が 25 % 向上しペン入力対応の「Fire HD 10」" なぜディスプレイが 1920x1200 のままなのか。その時点でとりさんとしては対象外。もっと解像度の高い画面にしてもそれほどコストは増えないと思うのだけれど。
PC watch "Intel、1 ソケットで 288 コアを実現した Sierra Forest や 第 5 世代 Xeon SP を公開"
数年前はひどい有様だったのに、Intel 完全復活って感じ。さすがだなあ。