Kabsch, Wolfgang. "Integration, scaling, space-group assignment and post-refinement" Acta Crystallographica Section D 66.2 (2010): 133-144 の 2.8 節において、反射の生じる回転角 の、回折パラメータ による偏微分が
と表現されている。この見慣れない変形は何なのか説明する。
まず、右辺を合成関数の微分で展開すると、
となって左辺と一致する。つまり、これは単なる恒等式で、回折現象とは関係ない。
では、なぜ、三角関数を使って表現する必要があったのかというと、 をあらわに求めるのが困難である一方、その三角関数はベクトル形式で簡単に表現できるからである。具体的には、2.2 節から引用すると、
である。この式は、nXDS 論文で Ewald sphere offset の議論につながっていくので、今度説明する。