結晶の不完全性の影響

スペクトル幅

ビームのスペクトル幅(spectral dispersion) は、Ewald 球の半経に幅を作る。したがって、Ewald 球の「厚みのある」表面で反射が観測されるようになる。

モザイク性

結晶のモザイク性 mosaisity の影響により、逆空間における格子点 (reciplocal lattice point: RLP) は、逆空間の原点を中心とする球の表面上に広がる。これは、各モザイクブロックが微小角ずつ回転しているために、逆空間も回転するからである。理想的なモザイク結晶では各ブロックの格子定数は同じなので、原点からの距離は変わらない。

モザイク結晶のモデルでは、各モザイクブロックは完全結晶であり、モザイクブロック同士は相互に干渉しない。空間コヒーレンスの高いビームではこの仮定は成り立たないように思われるが、モザイクブロックが結晶全体のサイズに対して比較的大きければ、ブロック内からの反射がブロック間の干渉を dominate するので無視できる、ということだろうか?

ビームの発散

ビームの発散(beam divergence) は、ビームベクトル S_0 の向きに広がりを与える。逆空間を固定した描像では、Ewald 球の中心が、逆空間の中心を原点とする球の表面上を動く。これを、平面で近似してる理論も多い?