反射の epsilon factor

続けて反射の epsilon factor についても確認した。これも、空間群と指数の関数である。

ある反射の epsilon factor とは、cctbx のソースコード cctbx/sgtbx/space_group.h で

The factor epsilon counts the number of times a Miller index h is mapped onto itself by symmetry.

と述べられている通り、その反射に逆空間の対称操作を適用したとき、自分自身に重なるものがいくつあるかを言う。

例えば P2 において b* 軸上の (0, k, 0) という反射を考えると、b* 軸が回転軸そのものであるから、これは回転操作について不動点である。したがって、自分自身 + 回転操作を適用したものの2つが縮退していることになる。この 2 が epsilon factor である。それ以外の反射 (h, k, l) については、回転で (-h, k, -l) となり、Friedel の法則に基づく強度の対称性によって (-h, -k, -l), (h, -k, l) が発生するが、いずれも異なるので、epsilon factor は 1 である。

epsilon factor は縮退度、multiplicity は unique な元の数なので、掛け合わせると Laue 群の位数になる。ただし Friedel 則が成り立たない場合は、Laue 群から原点での反転を除いたものになるから、半分になる。#これで合ってる? 群の作用とか、軌跡とか、そのあたりだよね