少ない大きな違いに注意

平均や分散やRMSD(Root Mean Square Deviation)といった量は、要素ごとに何かを合計したものを最後に要素数で割ることで計算する。したがって、大きく異なる要素が数個あっても、全体数が多ければ、その影響は覆い隠されてしまう。

何をもって「異なる」というかは難しい問題だが、結晶学において pseudosymmetry と true symmetry (crystallographic symmetry) を区別する場合は明確である。分子同士の RMSD が仮に 0.1Åであったとしても、例えばループ部分の数残基がはっきりと違う構造であったならば、pseudosymmetry と言わざるを得ない。RMSD の数値だけ見ていると、こういうのは見落としてしまう。必ずアライメント後の構造を目で確認しなければならない。あるいは、残基ごとの RMSD をプロットしてみるのもよいだろう。