構造

dials.analyze_background を動かしてみる

MeanAndVarianceFilterMasked を MeanAndVarianceFilterMaskedDouble に修正。 BOOST_ADAPTBX_FPE_DEFAULT=1 dials.analyse_blank 00*.osc で、画像が表示される。

dials.background_lookup を動かしてみる

C++ 側がエクスポートする名前と Python が import する名前が一致していないのでdials/algorithms/image/filter/boost_python/ にある fano_filter.cc と mean_and_variance.cc を修正(3箇所)。その上で、 BOOST_ADAPTBX_FPE_DEFAULT=1 dials.background_lo…

scitbx と numpy

scitbx はビルド時に SConscript (scitbx/array_family/boost_python/SConscript )で numpy の有無を検出しており、ない場合は RuntimeError: numpy API not available を生じるコードにコンパイルされる。したがって、scitbx のビルド後に numpy を入れても…

dials.spotfinder を使ってみる

覚え書き: $ dials.spotfinder test-000[123].osc Configuring spot finder from input parameters Finding strong spots Finding spots in image 0 to 3... Extracted strong pixels from images........................................1.45s Merged 3 pi…

手作業の魅力

X線結晶学の解析のステップには、手作業で人間が操作・介入する職人芸的なところが残っているのが嬉しい。積分でのちょっとしたコツでデータが綺麗になったり、分子置換でのモデル選択や探索順序の指定といった調節で、今まで見つからなかった解が見つかった…

電子顕微鏡による構造生物学 勉強メモ

勉強中のメモ 共通事項 Contrast Transfer Function (CTF) の補正 収差とかの補正にあたる 実空間では、point spread function に対応 Defocus 位相コントラストをつけるために行うっぽい。高分解能 に解説あるけれど、まだ理解していない。 単粒子解析 Sing…

Proceedings of CCP4 study weekend 2013 つづき

Building a pseudo-atomic model of the anaphase-promoting complex Acta Cryst. D69 (2013) は、昨日紹介したのと逆方向で、電顕による複合体のマップに、XRD で得たサブユニットをどうはめていくかという件の実例。 形状によるマッチング 一部サブユニッ…

EM algorithm

EM algorithm (Expectation- Maximization algorithm) は、直接測定不能な変数が存在するときのモデルフィッティングに用いられる。構造分野で使えそうな/使われている局面は SFX で、指数付けに曖昧性がある場合 単粒子解析で、どのクラスに属するかの判定 …

TRPモチーフの語源

APC/C complex などに含まれる TRP motif とは、tetratricopeptide motif のこと。tetratriconta はギリシャ語で 34 である。実際、34アミノ酸からなるモチーフが繰り返された構造だ。化学における数詞はギリシャ語由来とラテン語由来が混ざっている。詳しく…

分子置換法のこれから

今月の Acta Crystallographica D は、今年1月の CCP4 study weekend 2013 のまとめ号である。Applications of molecular replacement to G protein-coupled receptors には、発表内容に加え、T4L と poly-alanine helix だけから MR してみたという解析が追…

XFEL の方向性と必要なソフトウェア

XFEL (やそれに類する ERL などの技術)を使った構造生物学の方向性についてメモ。強度を生かして: 超微結晶解析 (serial femtosecond crystallography: SFX) コヒーレンスを生かして: 単粒子解析 (coherent diffraction imaging: CDI) 新しい位相決定法 (int…

Order-disorder twinning

ccp4bb で order-disorder twinning (OD twinning, lattice-translocation defect) の話題が出ている。そこで紹介されていたのが Rotational order–disorder structure of fluorescent protein FP480 Acta Crystallogr. D (2009)。本症例は、90度回転の関係…

結合電子のモデリング

蛋白質では結合電子が見えるような超高分解能(0.8Å以上)にはそうそうお目にかかれないが、低分子の場合は普通である。通常の蛋白質の場合は、化学結合による電子の再分布を無視する Independent Atom Model (IAM) を採用している。電子の再分布を考慮するモ…

予測の精度を予測する

蛋白質の構造予測などでは、より正確な予測をすることが第一目標であるのは間違いないが、予測した解の精度を予測する、つまり予想にどのくらいの自信が持てるのかを適切に自己評価することも重要である。自信のある解が出れば探索をそこで打ち切ることがで…

分解能について

結晶学のデータセットの分解能と一言でいっても、回折斑点が目視できるギリギリのところ、 が2となるところ、CC1/2* が50%となるところなど、いろいろな定義がある。最近は昔と比べて non-conservative な基準が採用されるようになりつつあり、昔の論文での…

Harker section の定義

昔の ccp4bb で、Harker section の定義が話題になっていた。[ccp4bb]: Definition of Harker vector & section? から始まるスレッドである。回転軸に垂直だが格子の基本ベクトルに垂直ではない面(u + v = 0 など) も数学的には Harker section と呼ぶべきだ…

遺伝的アルゴリズムで位相改善

Improving experimental phases for strong reflections prior to density modification Acta Cryst. (2013). D69, 2039-2049 を読んだ。とりわけ強い反射数百個の位相を遺伝的アルゴリズムで改善してから DM することで、綺麗な map が得られるという。アイ…

反射の epsilon factor

続けて反射の epsilon factor についても確認した。これも、空間群と指数の関数である。ある反射の epsilon factor とは、cctbx のソースコード cctbx/sgtbx/space_group.h で The factor epsilon counts the number of times a Miller index h is mapped on…

反射の多重度 multiplicity

反射の多重度 multiplicity について確認した。これは、空間群と指数の関数である。ある反射の multiplicity とは、逆空間の対称性によってその反射に重なる反射がいくつあるかを言う。逆に言うと、その反射に対称操作を適用した時、何通りの逆格子点に移る…

cctbx で空間群を扱う: space_group_symbols と space_group

cctbx で空間群を扱うには、sgtbx (Space Group Tool BoX) を使う。まず、空間群の一般的情報を space_group_symbols オブジェクトから引き出してみる。 from cctbx.sgtbx import * P2 = space_group_symbols("P2") P2.number() # 3 P2.schoenflies() # C2^1…

Harker section

Patterson 図における Harker section とは、空間群の対称操作によって関連付けられる原子同士の差ベクトル (self vector) が出現する平面である。例えば空間群 P2 では、 演算子 実空間 元の点との差ベクトル I (恒等操作) (x, y, z) (0, 0, 0) 2 (b 軸に一…

同型置換のパターソン関数の原点

同型置換法では、蛋白質のみ(native; P) と蛋白質の重原子誘導体(PH) の反射強度を測定し、ここから重原子の構造因子(H)を推定するのが第一歩となる。この時、二つの反射強度を同じスケールに載せる必要があり、そのためのプログラムとして SCALEIT や FHSCA…

回折がフーリエ変換になること

Inkscape で矢印を描く - biochem_fan's noteで書いたように、Inkscape で矢印をつくるテクニックを身につけたので、もう1つ作図した。任意の物体による波動の散乱が、散乱体の密度のフーリエ変換になることの確認である。図のように、左から完全に並行でコ…

温故知新

http://sbsp.jp/sbsp/Sb/ で、構造生物学坂部プロジェクトの機関誌「構造生物」(1995-2005)を読むことができる(OCR らしく、誤字が散見されるのはご愛嬌)。私は昔のこういう文献を読むのが好きだ。Original paper はもちろん、その後に書かれたレビューや裏…

論文メモ: SHARP の文献

論文を読んで多少なりとも感じたことがある時は、記録を残していくことにする。Generation, representation and flow of phase information in structure determination: recent developments in and around SHARP 2.0 Acta Cryst. (2003) D59 を読んだ。exp…

outlier rejection

先日、Randy Read 氏の outlier rejection の論文 "Detecting outliers in non-redundant diffraction data" Acta Cryst. (1999). D55 を読んだ。予想される分布より 6SD 離れた観測を外れ値として考えている。ガウス分布の 6SD なので、p値 は に対応する。…

SHELXE による density modification & autotracing

experimental phase も MR による phase も使える。DM のアルゴリズムは charge flipping。solvent 領域の決定は、sphere of influence。アシメの各点につき、そこから半径 2.42Å の球を描いて、表面の電子密度の variance を計算する。2.42Å は 1,3-distanc…

cctbx チュートリアルをやってみる 3. PDB ファイルを読み込む

1つ前で、xray.scatterer が散乱体を表すことを確認した。実際の PDB ファイルから座標を読み込んでみよう。今回の元ネタは、cctbx Newsletter の "IUCr Computing Commission No. 7, 2006/11" である。PDB ファイルの読み込みには、iotbx.pdb を用いる。PDB…

cctbx チュートリアルをやってみる 2. xray.scatterer

xray.scatterer は、散乱体、すなわち原子を表す。原子のもつべき属性としては、原子番号・座標・occupancy・温度因子(isotopic or anisotopic)などがある。 from cctbx import xray si = xray.scatterer(label="Si", site=(1/2., 1/2., 1/3.), u=0.2) # u …

cctbx チュートリアルをやってみる 1. flex 配列

個人的には cctbx の設計はどうも直感的ではないのだが、業界の de facto standard になりそうなので、土地勘を身につけていきたい。なんとなくいじっていた部分も含めて、0から再スタートしてみる。ドキュメントが少ないことが公式メーリングリストでも話題…