数学

ガウス関数のフーリエ変換

ガウス関数シリーズの続きとして。ガウス関数のフーリエ変換もまたフーリエ変換となる。定法通りに平方完成して進めると、となる。既に周波数領域のガウス関数が見えている。後は積分部分が定数になればよい。この積分は、複素積分に経路拡張して考える。(-R…

Gaussian product rule

さきほど、正規分布する確率変数の和の分布について考察した。再生性により、正規分布の和も正規分布になるのであった。ガウス型の指数関数 については、他にも便利な性質がある。それが Gaussian product rule として知られるものであり、量子化学計算で役…

ガウス分布の和

ガウス分布は再生性を持つ。つまり、二つのガウス分布に従う確率変数の和も、またガウス分布になるのだ。証明は検索すればたくさん出てくるが、一番単純な場合、つまり、標準正規分布の和の場合について手計算してみた。確率変数 x と y が標準正規分布に従…

右手系・左手系

三次元空間の座標系の取り方には、右手系と左手系がある。実際に「フレミングの右手の法則」のような指の形をして考えれば分かるのだが、いちいち面倒なので、こう覚えている。まず紙の上に、二次元の座標軸を描く。右に向かって x 軸、上に向かって y 軸。…

原点を中心としない回転

原点を中心としない回転を考える。点 p を、点 t を中心として R 回転させるということは、点 t が原点になるように平行移動してから回転を行なって、その後で元に戻すということだから、となる。すなわち、p をあたかも原点中心であるかのように R 回転した…

Parseval の定理の結晶学での意味

たぶんどんな教科書にも書いてあることだが、先日、やっと腑に落ちたのでメモ。パーセバルの定理 は、フーリエ変換後のノルムと、元のノルムが一致することを表す。すなわち、ということ。結晶学では、f(x) は実空間における電子密度、F(X) は構造因子 F(h) …

回転行列の trace

昨日、tr(AB) = tr(BA) - biochem_fan's note で回転行列 M の trace が となることに触れたが、すごく直感的な説明を思いついたのでメモ。三次元空間のどんな回転も、回転軸と回転角で表現できる。その回転軸が z 方向になるように基底を取り直すと、回転行…

tr(AB) = tr(BA)

行列の積は可換ではないが、trace は保存する。で証明終わり。対称操作を表す行列 M の基底変更を行なうとする。 この場合でも となるから、trace は変わらない。結晶学において、回転行列が何度の回転なのかを によって調べることができる(その理由は Zで行…

逆格子ベクトルを R で確認

逆格子の定義として、結晶学の教科書では外積を使った表現が出てくることが多いが、逆行列を使った表現のほうが「ちょっと実験」するにはコードしやすい。数学的な詳細はまたの機会に触れるとして、簡単に確認してみよう。以前 in-house の R-AXIS IV で取得…

台形則による数値積分

を台形則で数値積分してみて、分割数と誤差を評価する。 trapezoid <- function(fun, start, end, div) { x <- seq(start, end, length.out=div) step <- (end - start) / (div - 1) fx <- fun(x) return(step / 2 * (2 * sum(fx) - fx[1] - fx[div])) } div …

「コヒーレントな場合は振幅で足す、そうでない場合は強度で足す」わけ

X線結晶回折において、「コヒーレントな場合は振幅(F)を足してから二乗して強度を得る、コヒーレントでない場合は強度(I)のレベルで足す」ことについて、なにかすごい物理的意味があるような気がしていた。後者は例えば相晶(twin)の場合に出てくる。ビームの…

長方形を回転する直線が横切る長さ

X線結晶回折法でのデータ収集では、固定されたビームに対して結晶を回転させてデータを収集していく。結晶は球形ではないので、回転につれてビームが結晶を貫通する長さが変化し、それに比例して回折強度が変化する。スケーリングでは、この強度変化をなめら…

Wilson 分布を確認していたら、「確率変数の和の小数部分の分布」やら「二次元ランダムウォークの成分の独立性」が問題となった

原子が単位格子中にランダムに散らばっているとしよう。i番目の原子の座標(fractional coordinate)を、原子散乱因子をとすると、結晶全体からの散乱は指数を h として、で表される。なお、この手の式ではいちいち書かないのが普通だが、 は指数 h に依存する…

確率変数の変数変換

以前もこの話題をやったが、手を動かしていろいろ実験した結果、前よりも腑に落ちた(感覚的にしっくりくるようになった)ので再度まとめ。まず、簡単な場合。[0, 2]の範囲の一様乱数 X がある。その密度関数は f(x) = 1/2、変域は[0, 2]である。Y = 2X と変数…

接続について

これはメモ。たぶん間違っているっていうか、言葉になってない:多様体上の計量テンソル? - biochem_fan's note の続き。昨日の勉強会で得たイメージ。多様体は局所座標の貼りあわせ。局所座標系自体は、基底を取り直して正規直交系にできる。だが、待てよ、…

多様体上の計量テンソル?

全然分かっていないので、どこで混乱してるかメモ:多様体は、局所座標系の貼りあわせということは分かった。で、局所座標系の基底を として、その内積を決めてあげる。それが計量テンソル。ってのはいいんだけど、基底を変換すれば正規直交系にできるよね? …

モデル構築・精密化の自動化

先日、数理統計を専門とする先生に結晶学におけるモデル構築と精密化の話をしたら、モデル構築に人間の介入が必要であることが「キモチワルイ」という感想だった。人間の介入が必要ということは、そこにバイアスが入るリスクがあるということであり、それが…

行列の読み方

多次元のデータを扱うことが多いせいか、統計や最適化の説明には、行列を使って書かれた式が多い。微分や積分や総和記号へのアレルギーはないつもりだが、行列がごちゃごちゃと出てくると、ついつい目を背けたくなってしまう。 その時に心がけていることをい…

情報幾何の気持ち

これはメモ。たぶん間違いを含んでいる:確率分布(=関数)を一つの点として考える。例えば一次元の正規分布を考えると、平均とSDという二つのパラメータがあるので、その全体は二次元空間に分布している。 標本分布がある。ノイズとかがあるので、標本分布の全…

「数学好き・競技プログラミング好き」な人たちと、ちょっと違うところ

生粋の数学好きとか競技プログラミングに明け暮れている人たちは、「自分で考えること」が好きなんだなあと思う。類型的に言うと、数学セミナーとかに載っている問題を何日でも楽しんで考え続けられる人のイメージがある。一方、今の私は、数学も競技プログ…

次元の呪い

これはメモ。 次元が上がると、増えた次元に"逃げて"しまうこと。例えば、無限次元の線形空間では有界閉集合なのにコンパクトでないものがある。 密度推定をしようにも、スカスカで近傍に点が全然いないこと。 点から多面体への最短距離を計算するときのオー…

型を意識する

プログラミング言語では duck-typing のほうが好きで、Java のインターフェイス至上主義にはうんざりなのだが、数学書を読む時は型を意識することがすごく大切なのだと日々実感している。 何の集合なのか。集合の集合とかも出てくる。 どこからどこへの写像…

問題を解く方法の見つけ方

問題を解く方法の見つけ方(meta-algorithm)として、最近思っていること。 順番を決める 要素に順序を入れて、一意な並べ方に正規化する。つまり、順列を組み合わせにできないか。DAGだとトポロジカルソートして順番を入れることができる。これが有効だったり…

R で整数の分割

R で整数の分割を列挙するには、partitions パッケージを用いる。 library(partitions) parts(5) # 5 の分割 (行列が返る。タテ方向に分割が入っている) P(5) # 上の個数 == ncol(parts(5)) restrictedparts(5, 3, include.zero=F) # 5を3つに分割 R(3, 5, i…

たかだか有限個

「所詮、たかだか有限個だから」といった言葉を聞くことがある。有限個ならば、全探索で総当たりすれば理論的には解ける。つまり1つ1つ調べていけばいいのだ。無限個だったり、範囲が有限でも連続だったりするとそうはいかない。もちろん現実には時間やメモ…

確率分布の「読み方」

ガンマ関数とか恐ろしげなものがアタマについているとギョッとするが、そこに変数が入っていなければ、単なる正規化のための定数に過ぎない。変数が入っている部分にまずは注目。

Sidak法からBonferroni法へ

N回独立な検定を行ったところ、p値の最小値としてpminを得たとする。これよりも「珍しい」事象は「p値の最小値として、pminよりも小さい値を得た」である。これは「全てのp値がpminよりも大きかった」事象の余事象だから、その確率はで与えられる。多重検定…

k番目の値の分布

昨日の勉強会で、Benjamini-Hochberg法に関連して、次のような問題を考えた。『[0, 1]の範囲で一様乱数をN個発生させたときに、k番目の値はどういう分布を取るか』シミュレーションするのは簡単だが、この分布には名前が付いているのだろうか? 標本の「k番目…

確率密度関数の変数変換

確率密度関数 f(x) は、確率変数 X が x ちょうどを取るときの確率ではない。微笑領域の幅 dx を掛けたときに確率になるようになっている。これが「密度」の意味するところ。したがって変数変換をする時は、ヤコビアンを掛けることになる。詳しくは、確率分…